ありがとう小橋選手! 鉄人伝説ついに終幕
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ありがとう小橋選手! 鉄人伝説ついに終幕

(2013年5月12日)

小橋建太

試合終了後、大歓声に笑顔で応える小橋選手 (2013年5月11日 日本武道館)

  だけど、小橋選手の努力は決して「自分なり」なんかではなかった。そこまでやらなくていいと、誰もが言うだろう。試合で足を負傷したときも、動かない足を引きずって翌日のリングに上がっていた。試合中のアクシデントで歯が唇を突き抜けて大流血したときも、ファンに弱みは見せられないと、記念撮影が終わるまで手当てを受けなかった。「努力は誰にでもできる」なんて、おこがましいことを思っていた。「誰にもできない努力」をしなければならないのだ。小橋選手が教えてくれた努力は、確実に私を変えてくれた。
 「怪我をする選手は二流。させる選手は三流」とは故ジャイアント馬場さんにいわれた言葉である。だからこそ、小橋選手は怪我を乗り越えたとき、それまで以上のファイトを心がけた。まぁ、小橋選手の場合は、怪我というよりダメージの蓄積だったが。一流であり続けるために、小橋選手の努力はすさまじいものがあった。小橋選手が、プロレスファンのヒーローとなり得たのは、その努力と向上心の賜物である。

■ ヒーローとしての生きざま

  武道館の試合終了後、武藤選手が「俺が引退するときは誰が懸け橋をかけてくれるか。今のところ思い当たらない。これが、小橋の生きてきた証明」とコメントしていた。まさしく、その通りだと思う。武藤選手に限らず、これだけの引退試合を行って去っていけるヒーローがいるだろうか。
 この規模で引退試合を行ったのは、アントニオ猪木さん以来だという。馬場さんも、鶴田さんも、三沢さんも引退試合はできなかった。そして、それは私たちにも言える。私が引退するとき、私の花道を飾ってくれる人がどれだけいるというのか。小橋選手の生きざまは、いつでも私に反省と向上を与えてくれる。
 小橋選手の試合を見て、いったいどれだけ勇気をもらっただろうか。小橋選手の試合後のコメントを聞いて、いったいどれだけ自問自答しただろうか。


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